MY FARM

  • 会社概要
  • お知らせ
  • 事業内容
  • 企業ご担当者様へ
  • 採用情報
  • お問合せ
  • 農地活用
ホーム > 西辻一真の書き物コーナー【#001】

#001【縁と緑(2005年01月初掲出)】

  • 縁と緑
     今回は「ご縁(ごえん)」ということで執筆させていただきます。これも一つのご縁ということになるかと思いますが、私たちが日々感じるご縁についてお話をさせていただきます。
     さて、皆さんは、日本中で問題となっている「耕作放棄地」についてご存知でしょうか?耕作放棄地とは、もともと農地であった場所が農家の高齢化や収益構造の難しさから栽培を放棄してしまった場所を指します。その耕作放棄地を私たちはもう一度自分たちの手で修復し再生した後、一般の畑をしてみたいという利用者の方々に提供する事業を営んでいます。そしてそれらを「農業教育の場」「失われたコミュニティの再形成」「未来の農業家の発掘」の場所として利用をしています。現在は関東・関西・東海に40箇所ほどの再生農園があります。一見して単純そうなこの、「耕作放棄地を再生し、利用者の方々に上記のサービスを提供する」ということの根幹には、私たちの深い想いが詰まっています。
     もともと私は、福井県の出身で自然の中で育った子供でした。高校1年生の時に「使われていない畑」があったことに疑問を抱き、そこを他の人が使う仕組みはないか、もしくは、そこで特別な機能性を備えた作物を作ることができないだろうか、ということを考えるようになりました。その後、京都大学農学部に進学をし、農業についての研究をはじめました。大学時代は、遺伝子組み換え作物も栽培しましたが、そこにまた新たな疑問を感じはじめました。人間にとって安全かどうかわからないものである上に、自然界の領域にまで踏み込んでもよいのだろうか?と思い始め、そこから徐々に考え方が変わっていったのです。そして、「耕作放棄地を他の人に使ってもらう仕組み」を作ろうと思いました。かつて農地として「緑」だったところを農地として「緑」に戻したいと思ったのです。今、思うと私が耕作放棄地にこだわる理由は、昔の人が耕していた場所、耕せた場所を人口が増えた今の日本人には耕せない、耕せなくなっているという事実に、日本人としての力強さを感じられなかったからかもしれません。もう一度立ち上がろう!ということを直感的に感じたのではないかと思うのです。
     ところでこのマイファームは、2人で立ち上げた会社です。創業当時、岩崎という私のパートナーがおりました。その彼との出会いは人生を変える出会いだったと思います。彼は京都で私とまったく違う大学・会社に勤めておりましたが、私が耕作放棄地を直したい!ということを言い続けていたときに共感してくれ、一生を投げ出して一緒に来てくれました。彼の想いは「子供ができたのに、土を触る場所がない、触り方も分からない」この疑問点から始まっていました。「農業教育」をする場所がないということを社会に向けて問題提起し、何か動きを起こそうと考えていました。この、私と岩崎の偶然の出会いから、今の体験農園マイファームのサービスが出来上がっています。二人が出会わなければ、私は農地不動産屋さんにしかなっていなかったのではないかと思います。
     さて、いよいよ耕作放棄地を直そうと思っても実際はここからが大変でした。農家の方は、見ず知らずの人間にいきなり農地を任せるようなことはしません。私たちは毎日、農家さんの家の軒先で断られ続けましたが、ある日突然の出会いがありました。その日は雨だったのですが、そのおかげで普段だと入れてもらえないところを、農家の方の家の中に入れてもらうことができたのです。そこで膝をつめてお話をすることができました。そしてその農家さんと話をした結果、理念に共感していただき、耕作放棄地を持っている農家さんを紹介してもいいよと言ってくれたのです。さらにその農家さんとお会いするときには、まず、お食事をしながらということで、農協の懇親会に呼んでいただき、そこでプレゼンする機会を得たのです。そしてはじめて農園を開園させていただくことになったのです。この時、「雨が降る」という自然がくれたご縁、「農家同士のつながりに入れていただく」という人のご縁、担当させてもらえることになった「耕作放棄地」とのご縁、を強く感じ、様々なところで助けられているなと実感しました。またその懇親会の最中に、農家さんたちから、とても印象的な言葉を耳にしました。それは「農業は、自然との闘いといわれるが自然との共生が正しい。私たちはお金という交換物を得るだけではなくて、農業において「助け合う」精神が染み付いている。「農家仲間の共生」の意識をもっているからこそ、そこに入ることは、自然と農家が共生をするということだよ。」というお話です。この思考は、今の私たちの根底に流れている大切なものとなっています。
     そして実際に農園を開園することになるのですが、今度は大地とのご縁を頂くことになります。大地にも全て特徴・個性があります。面白いことに、私たちが畑を再生する際、その土地が「きっと喜んでいるだろうな」と感じるところと、逆に「そのままにしておいてほしいだろうな」と感じるところがあり、その違いや差が後に大きく出てきくることがあります。その土地が再生を喜んで受け入れているように思える場所からは、昔の人が使っていたお人形やお椀が出てくることもあり、なぜか作物もよく育つのです。逆に、そのままにしておいてほしいとその土地が感じていそうなところからは、砂利がたくさん出てきたり、粘土層で固められていたりするので、なかなかうまくいきません。現在のところ、私たちは、ありがたいことに大地・自然・人に助けられており、それらから喜ばれる場所がほとんどです。その喜びに満ちた土地、場所の上であるからこそ、農に触れる利用者の方々の喜びが生まれるのだと思いますしは、その二つは実にシンクロしているような気がしています。
     農園の上で行われるサービス提供のテーマはまさしく「つながり力」だと思います。大地と人の手のつながり、先生と利用者のつながり、利用者同士のつながり、地主さんとみんなのつながり、様々なところでそのつながりを強化するように私たちはサポートをしています。今の世の中において、見失われている「温かさ」をもう一度取り戻すことができる場所であり、その農園を利用する人たちは皆明るく笑顔で、まるで親戚同士のような関係になります。一番象徴的な場面は「挨拶をする」ということに集約されているかもしれません。自然に挨拶し会話することで、利用者の方も私たちも自然と信頼関係が築けるようになっています。そこで私が感じることは、この姿こそが昔の人々が大切にしていたものであって、これがあるからこそ農業が成立していたのだということでした。
     また私自身もこれらの経験を通して、自分の生きる軸を頂くというご縁を頂きました。それは「自然に生かされている」という感覚をもつことができ、全てのことを自然に感謝するようになったということです。この感覚を持つことで、私利私欲に溺れることなく、心も広く持つことができるようになり、世の中の出来事や身の回りのことに対して、自分の意思をしっかりもつことができました。総じて、今の仕事をさせてもらっていることにとても感謝しています。
     これからの世界はきっと「共生」の世界に入り、物質よりも「コト」にシフトする時代に入ってくると思います。それらを体現していくことで、より「縁」というものが深まっていくようになり、自然・人・全てのものに対しての深みが問われる時代になっていくことでしょう。決して未来の見えない暗黒の時代ではなく、自分たちの手で未来をコツコツと作り上げて上記のような社会を作り上げていくことができる明るい時代が待っていると思い、私は活動を行っています。
     もし、お住まいの近くで、マイファームの農園をご覧になったら、私の思想の詰まっている農園だと思い思い出していただければ幸いです。
バックナンバー一覧はこちらから >
お知らせ

お知らせ

プレスリリース

メディア掲載出演実績

お知らせ
西辻一真書物コーナー