マイファームは創業17年を迎えましたが、創業期からの「自産自消のできる社会を創る」という理念のもと自然と人の距離が近くなるような事業展開を行ってきました。創業は京都府久御山町にある耕作放棄地を再生させた農地で、農業体験を行う農園からスタートをしました。その後、利用者の方の声を生かしてアグリイノベーション大学校という農業学校を立ち上げ、その卒業生が安心して農業ができる環境を作るために流通・小売事業に乗り出し、さらに雇用の場を作るため生産・コンサル事業へと拡大をしてきました。この歩みの中で一貫していることは常に人に寄り添い成長を伴走していくスタンスであり、農業全体が抱える問題も社会の課題も人の成長に鍵があるという考えのもと事業展開を図っており、このノウハウと人的資本は世界が抱える課題にすら解決の糸口となると信じております。
当社は農業系ベンチャーであるため、農業生産も半分、農業周辺事業も半分であり、本質的には短期的成長には不向きな事業形態であることは理解しながら、ここまで緩やかな成長をしてきました。しかし事業拡大に伴って次の展開に必要なスキル・資格は「社会的に信用される会社であること」「資金調達を柔軟に行うこと」でした。事業が複雑化・高度化するにつれて採用や人材育成における投資が必要になり、世界に進出するうえでの与信が必要になり、国内における農業課題の中で長期的な投資や運用が必要な事業への進出するための体力が必要になることを解決するためには上場するという選択肢が合理的だと判断をしました。
ただ、一気に一般市場に進出した場合のリスクも考えられるためまずは東京プロマーケット市場への上場を行ってから次のステージへ踏み出していく決断をしました。自分でも思いますが、“農業系”ベンチャーらしい堅実な歩み方であり、農業をする上での基本となる段取りを踏んでいる点が弊社らしい選択であると感じています。
さらに業界全体に対する影響も当然あると考えております。農業界は事業リスクが高く、利益率が低く、上場は難しいと思われています。しかし、今回の弊社の上場をきっかけに多くの農業法人・農業ベンチャーが挑戦をする選択肢を経営の中に取り入れてもらえれば、と考えておりますし、きちんと内部統制や会計基準を満たした運営をしていることを社会に見せることは業界全体にとっても重要だと思っています。
会社の経営方針は、社内全体で毎年更新をしている「マイファーム定義書」に基づく運営をしていますが、その中にある行動指針では以下のように決まり事を設けています。
これらは、弊社に属する役員・スタッフ全員の行動としての判断基準にもなっています。もちろん私もこの行動指針を遵守する一人になります。
これらを踏まえて会社としての使命・経営方針を定めており、それは以下の通りです。
私たちの会社の中心にあるのは「自産自消のできる社会」であり、社会づくりを目指しています。そこには社会における課題と目指す方向性に近づく解決策が存在しており、必ず自然・ヒトの関係性の改善が求められます。農村集落の消滅、農業の相対的地位低下、食にまつわる課題、などすべてがそこに集約されていくと考えています。その場合に短期的な解決方法というものはほぼ存在せず、中長期的な仕組みの改善や文化の浸透までもが必要になると考えており、それらに対するアプローチは継続して行われなければいけません。
だからこそ、私たちは「早く行きたいならひとりで行きなさい、遠くへ行きたいならみんなで行きなさい」ということわざを大事にしており、会社が継続をできる体力を持って適切な投資を行って社会課題を解決し、遠い未来まで続くものでありたいと願っており、経営方針もそのようになっています。この「みんな」に株主の皆様も入っていただき、一緒に事業を推進する仲間となっていただきたいと考えておりますので、ご指導ご鞭撻を株主としていただけますと幸いです。