マイファームタイムス スタッフコラム│土が繋いだ、88歳から高校生へのバトン。福岡の体験農園で起きた奇跡のような話

2026年3月25日

#スタッフコラム

スタッフコラム│土が繋いだ、88歳から高校生へのバトン。福岡の体験農園で起きた奇跡のような話

皆様こんにちは!
福岡エリアで「体験農園マイファーム」の運営を担当している、笠井(かさい)です。

日々の業務の中で、私は「農園は単に野菜を作る場所ではない」と実感する瞬間に何度も立ち会ってきました。

今回は、福岡県北九州市にある「足立(あだち)農園」を舞台に、2021年の開園当初から利用してくださっていた一人の利用者様との別れ、そして驚くような「ご縁」でつながった新しい出会いについてお伝えしたいと思います。

一人の人生の大先輩が6年間かけて育てた畑が、次世代へと受け継がれる。
私たちの農園だからこそ起きた、そんな春の素敵なエピソードをお届けします!

 

春は別れと新しい出会いの季節です
 

■「子どもたちに野菜を」。82歳の野菜づくり

 
2021年、福岡県北九市内に開園した足立農園。
その開園当初から農園を利用してくださっていた、一人の利用者様がいます。

Yさん、当時82歳。

運転免許を返納され、移動はバス。
それでも「子どもたちに自分で育てた野菜を食べさせたい」という情熱を持って、足立農園を利用してくださいました。

YさんはNPO法人の代表として、子どもたちのための寺子屋塾を運営されており、収穫した野菜はいつも子どもたちへのお土産として持ち帰っていました。
そのバイタリティには、私たちスタッフも背筋が伸びる思いでした。

 

農園で育てた野菜を子どもたちへのお土産に
 

■正解のない調整と、対話が作った信頼

 
しかし、Yさんのその情熱ゆえに、運営側としてのルールと、利用者としてのこだわりがぶつかり合うこともありました。

忘れられないのは、Yさんが区画内に設置した「囲い」を巡る出来事です。

空間を隅々まで使い切りたいYさんと、安全管理の観点から撤去をお願いしたい農園オーナーである法人様。どちらの主張も、間違ってはいません。私はその間に立ち、何度も対話を重ねました。

正直、解決に至るまでには多くの時間を要しました。
ただこれこそが、単なる施設管理ではない、私たちの農園運営の本質だと感じています。

一定のルールはもちろんあります。
でも、私たちは「その人が農園という場で何をしたいのか」を尊重したい。

その考え方が、足立農園だけに限らずですが、マイファームの農園の雰囲気を作っていると思います。

 

Yさんの当時の区画の「囲い」の写真
 

■6年間でグラウンドの土が「生きた土」に!

 
2026年3月。
88歳になられたYさんが、ご自宅近くに新たな畑を見つけ、足立農園を卒業されることになりました。

区画の解約にあたり、私は個人的に、あることを楽しみにしていました。
それは、Yさんの区画を耕耘(こううん)すること。

開園当初、足立農園の土はまるで学校のグラウンドの土のようでした。
生き物の気配が薄く、正直「この土でおいしい野菜ができるだろうか…」と頭を抱えた記憶もあります。

 

開園当初の様子

 
そして今回、Aさんの区画にいざ鍬を入れて驚きました。
明らかに土の状態が違うのです。

「戦争中と同じように作った。それが基本だもの!」

そう笑うYさんは、肥料を買う代わりに米ぬかやもみ殻を撒き、生えた雑草や収穫後の残渣(ざんさ)を一切外に出さず、すべてその場所で土に還してきました。
連作障害も気にせず、力強く直まき(※タネをそのまま畑の土にまくこと)をする。

そうした6年間の野菜づくりを経て、Yさんの手によって「土が育って」いたのです。

「肥溜めから(し尿を肥料として)持ってきたかった!」というYさんのジョーク(本気だったかもしれませんが!)に、「それはご遠慮いただいてよかったです!」と笑い合った時間は、私にとってとても貴重なものでした。

 

6年間使ったYさんの区画。明らかに土の状態が違う
 

■奇跡のバトンタッチ、繋がったご縁

 
Yさんが去ったその区画を、新しく使う方が決まりました。

地元の高校生、Sさんです。
高校の栽培サークルに所属しているというSさんが、初めての講習会で来園した際、素敵な偶然が起こりました。

なんとSさんは、Yさんが運営していた寺子屋の元教え子だったのです。

Yさんは、自分が大事に使い、育てた畑を、かつての教え子が引き継いでくれることに、とても喜んでおられました。

その日の夜にも、Yさんから「今日は本当にいい日だった」という連絡があり、Sさんの好きなことなども教えていただきました。
今後、Sさんと一緒に農園で挑戦したいと思っています。

こうして、奇跡のような、先生から教え子への「土の引き継ぎ」が行われたのでした。

 

■だから「農」の仕事は楽しい!

 
繋がる畑。
今回の出来事は、単なる偶然の一致ではない気がしています。

愛をもって土を耕す人の周りには、自然と同じ志を持つ人が集まってくる。
体験農園は単なる野菜づくりの場ではなく、新しい出会い場なのだと再認識しました。
足立農園が6回目の春を迎える前に、心がじんわりと温かくなる経験をさせてくれたYさんとSさんに感謝しています。

こんな機会があるから、農園の仕事は楽しい!

私たちはこれからも、効率や数字だけでは測れない「畑でのドラマ」を大切にしていきます。

 

 


★最後までお読みいただきありがとうございました!

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