2026年6月23日
スタッフコラム│震災で失われた田園風景をもう一度。南相馬市「みらい農業学校」が育む東北農業の未来
皆様こんにちは!
農業教育部で「みらい農業学校」の運営を担当している山口(やまぐち)です。

私は前職では別業種でしたが、学生時代に、出身の宮城県で東日本大震災に遭いました。
津波による塩害で耕作放棄地と化していく田畑を目にする機会が増え、農業の衰退を感じたことをきっかけに農業界に興味を持ち、2024年にマイファームに入社しました。
現在は福島県南相馬市にある全日制の農業学校「みらい農業学校」の現場責任者として、学校運営に携わっています。
今回はそんな「みらい農業学校」についてお話しさせていただきます。
■みらい農業学校ってどんな学校?
「みらい農業学校」は、南相馬市とマイファームで運営する「公設民営」の全日制の農業学校です。
2024年4月に開校し、今年(2026年)で第3期目となります。
学校がある福島県南相馬市小高区は、東日本大震災で避難区域となり、一時住民がゼロになったまちです。現在、住民は戻ってきてはいるものの、人口は大幅に減少しました。
そして、農業界では担い手不足の問題が深刻化しています。
そうした背景から、新たな担い手の育成、そして人口増加に向けた施策として、南相馬市は「みらい農業学校」を設立しました。
私たちマイファームは、南相馬市からの受託という形で学校運営をさせていただいています。

南相馬市の「農業交流スペースTSUMUGI」を校舎として使っています
受講生の年代は10代~40代で、福島県内出身の方と県外からの移住者の方がバランスよくいます。
今年度は近隣の農業高校からの進路先としてみらい農業学校を選択する方もおり、若い受講生も増えてきています。
授業は、農場での実習が大半を占めており、栽培・出荷調整・販売まで行う、実践的なカリキュラムとなっています。
また、法人研修では実際に農家や農業法人の下で数日間研修をしてもらうカリキュラムがあります。
独立就農をする場合は農家の1日を学ぶことができますし、雇用就農を希望している場合はご自身に合った品目や働き方、会社を見つけるためにとても参考になる内容になっています。
他にも様々な研修が組まれており、農家以外にも地域とも繋がれる機会をたくさん設けているので、移住をして入学する方も安心して地域に入ることができるところも大きな特徴です。

ソラマメの収穫について学ぶ様子

トマトときゅうりのハウス
■卒業生のほとんどが地域から離れない
南相馬市は、北から鹿島区、原町区、小高区と3つの区に分かれます。
中でもみらい農業学校がある小高区は人口が一番少なく、お店なども多いとはいえない地域です。
ですが、地域の方との繋がりがあり、いちばん温かみを感じることができるのは、小高区です。
震災以降、他の区より人口が大きく減少してしまったこともあり、移住者の方もあたたかく歓迎してくれます。
都会から移住してくる人ほど、人が少ないため静かすぎて心配になるのではないか?と思っていましたが、むしろその逆で、人との距離感が心地よく、とても落ち着くのだそうです。
移住してすぐは「お店が少ないのと、閉店時間が早いのでちょっと不便…」と言っていても、半年ほど経つと「この環境がとても落ち着いて、小高から出たくない!」という方がほとんどになるのです。
おかげさまで小高区内にはみらい農業学校の卒業生がたくさんおり、事務局としても嬉しく思っています。

第2期生と専任講師のほ場で田植えをした際の1枚です
■全国でも珍しい!?受講生の意見を取り入れながら進化し続ける学校
みらい農業学校は、毎年新たな取り組みをしており、進化が止まりません。
例えば、第1期では、受講生からの要望で「東京で開催される農業の展示会に行きたい!」という声が上がり、当初はカリキュラムに予定されていませんでしたが、南相馬市に快諾いただき、急遽、授業の一環として東京の展示会に行くことにしました。
また、受講生が果樹の栽培に興味を持っていたので、専任講師の先生からブドウの苗木をいただき、予定外でしたがハウスでブドウの栽培にも挑戦しました。
第2期では、稲の生育を毎日見られるように、学校の目の前に小さな田んぼを作りました。
また、製粉機を準備して、学校で収穫した麦を小麦粉にし、ピザ屋さんでピザにしてもらったり、加工トマトを栽培し、地域企業とコラボをしてトマトのサルサを商品化して販売していただきました。

もともと幼稚園の砂場だった場所を田んぼに

学校と南相馬市内の農家が育てた加工トマトを使ったサルサ「ことづて」
そして第3期では、毎年果樹に興味を持つ受講生が一定数いることから、学校としてイチジクの栽培を始めました。
加えて、ただイチジクを栽培するだけでは物足りないので、地域のケーキ屋さんに協力いただき、生産から加工、販売までを行う「6次化」について学ぶ講義を実施していただきました。
他にも、受講生からの意見や要望を参考にしながら、多くの改善を重ねてきました。
これも、受講生がこれからのために意見を出してくれたり、南相馬市も柔軟に対応してくれるからこそ実現していて、本当にみんなで作り上げている学校だと思います。
これからも、みらい農業学校はこれからのニーズに柔軟に対応しながら変化し、進化し続けます。
■震災で失われた東北の農業を、もう一度育てたい
冒頭でもお伝えしたように、私は2011年の東日本大震災当時、学生でした。
実家の近くも津波の被害を受け、変わり果てた地元を前に、「いつか誰かが元に戻してくれるのだろう」と漠然と思っていました。
その後、福島県の会社に入社し、宮城から福島まで海沿いを通って通勤する中で、震災当時から変わらず耕作放棄地のまま残る田んぼを目にしました。
「元に戻せない理由があるのかもしれない」と考えるようになり、かつて広がっていた田園風景をもう一度見たい、そして「誰かが戻す」のではなく、「私もその一人になりたい」と思うようになりました。
そんな時に、みらい農業学校が南相馬市に新しく開校すること、そして事務局のスタッフを募集していることを知りました。
農業を志す人たちの新たな一歩を支え、その挑戦に寄り添える仕事があることに魅力を感じ、現在は学校の運営に携わっています。
私の個人的な目標(密かな裏テーマ) は、みらい農業学校から南相馬市の農業を担う人を増やし、その流れを福島、そして宮城へとつなげていくことです。
震災で失われた東北の海沿いの農業を、一人ではなく、多くの仲間とともにもう一度育てていきたい。
そのために、学校を通じて人と人をつなぎ、新しい挑戦を後押ししていく存在でありたいと思っています。

第1期生の卒業式の際の写真
■みらい農業学校では第4期生を募集中!
現在、第3期を迎えているみらい農業学校ですが、2026年7月より第4期生の募集を開始します。
農業をやりたいけれど、はじめ方がわからない。
自分に合う品目がわからない。
地域と繋がり、自分の目で見て、研修を経て間違いのない就農先を決めたい。
農業を志す仲間に出会いたい。
様々な悩みや障壁があってなかなか一歩を踏み出せずにいる、そんな方へ。
南相馬で、仲間や私たちと一緒に農の世界へ飛び込んでみませんか?
南相馬市では、農への一歩を、全力でサポートします。
まずは学校説明会にご参加ください。皆様との出会いをお待ちしております!

\第4期生(2027年春入学)を募集中!/
学校説明会を現地&オンラインにて開催しています!
詳しくは下記ウェブサイトをご覧ください。
▽みらい農業学校 公式サイト
https://agri-innovation.jp/mirai/
▽学校説明会のお申し込みはこちら
【みらい農業学校】第4期 学校説明会・オンライン説明会お申込みフォーム
★最後までお読みいただきありがとうございました!
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